2016年11月(November)
11月になりました。24節気を3つに分けた72候では、11月2~6日は楓蔦黄です。「もみじつたきばむ」または「もみじつたきなり」と読みます。モミジやツタが色づく頃という意味です。そして秋に山が紅葉する様子を「山粧う」といいます。いよいよ紅葉の季節が近づいてきましたね。 |
セロシア(ヒユ科) もともとはケイトウ(セロシア属)と呼ばれていたのですが、最近はケイトウの園芸品種がセロシアの名前で流通しています。写真のセロシア・ライオンハートは学名「炎の舞」という品種です。炎のように鮮やかな赤でふんわりボリュームのある花穂が魅力的です。秋咲きで初秋から初霜が降りるまで、長く楽しめます。 群生させて赤いじゅうたん、ボーダーガーデンや寄せ植えにも使えます。 |
トウガラシ(ナス科) 熱帯アメリカ原産。観賞用トウガラシは、果実の観賞をとても長く楽しめます。日本では一年草として扱われますが、原産地では多年草になるものもあります。日本でも5℃程度を保てる温室や沖縄地方では多年草になります。写真のブラックパールは黒葉種でシックな印象です。若葉の頃はやや緑みが強く、日光と温度の条件が十分だと艶のある美しい黒葉になります。実は黒色から成熟すると赤みを帯びてきます。 |
朝日のあたる家 | ||
急に秋が深まってきました。木々の葉色は日ごとに赤みが増え、梢に残る葉の数も減りました。足元には落ち葉が積もり、特有の香りがします。空も雲も風も、もうすっかり秋です。 夏の間は、気が重かった庭仕事も、この時期は心地よいです。落ち葉を集め、雑草を抜き、伸びすぎた枝を切っていると、いつの間にか時間が過ぎています。 何よりも気持ちのいいのは、朝の庭作業です。時には寒い位のひんやりした秋の空気の中で、植物たちと関わる時間は、とても贅沢なものです。 我が家は隣が空き地なので、朝の光がいっぱいに降り注ぎます。光を浴びて、庭にいると、心の片隅に居座るネガティブな思いも、漠然とした不安も、嫌な夢も、全部昇華されてしまうような気がします。 あ中学生の時、友人の家でジョーン・バエズのアルバムを聞かせてもらった事がありました。 アコースティックギターの音と、透きとおるような声、英語の歌詞。意味は分からないけれど、大人の世界に踏み入れたようで、何もかもがとても新鮮に思えました。 「ドナドナ」の次は「朝日のあたる家」でした。 タイトルと、ゆっくりしたテンポで透明な声で歌い上げられる世界に、私はなだらかに広がる緑の丘と、いっぱいに朝の光が降り注ぐ家を想像していました。 それはまるで、幸せの象徴のように思えました。 「朝日の当たる家」が、本当は悲しい歌だとわかったのは、随分後の事でした。 時が経ち、私は朝日を浴びながら、庭で満たされた時間を過ごしています。 植物たちも朝日を浴びている時は、より生き生きと見えます。 朝日がいっぱいに降り注ぐ家は、やはり幸せの象徴に思えます。 歌に登場する人たちも、朝日を浴びている間だけは、悲しい日常を忘れて、清々しい晴れやかな気分を味わっていたのかもしれません。 |