2016年3月(March)

 三月になりました。三月は弥生とも呼ばれますが、これは「草木がいよいよ生い茂る月」という意味だそうです。エコ・ワークスの庭も、植物たちの芽生えや成長を予感させる空気が漂っています。いよいよ春ですね。
香りツバキ・匂いツバキ(ツバキ科)
沖縄地方に自生するヒメサザンカの改良種です。もともと一般的なツバキには匂いがほとんどありません。その中で最も香りがする、と言われているのが沖縄地方の山地林内に自生するヒメサザンカです。サザンカの名がつきますが、サザンカとは別のグループです。このヒメサザンカを他の品種と交配し作られた新品種が「香り椿」「匂い椿」です。淡い色の小さな花がたくさん咲き、ほんのりと甘い香りを楽しむことができます。
リュウキンカ(キンポウゲ科)
日本~中国原産です。ミズバショウやザゼンソウの前に開花し、湿原の春を彩る花です。黄金のようにつややかな黄色い花が、立ち上がるように咲くので立金花の名がつきました。花弁のように見えるのは萼片です。夏には地上部は枯れて休眠します。若葉は茹でてさらして食用可能ですが基本的に有毒です。中世ヨーロッパでは、キンセンカとともに聖母マリアの象徴として祝祭に使われました。その輝く姿から「太陽の花嫁」「黄金の花」と言われる一方、恋仇への嫉妬に狂った乙女の伝説から嫉妬の象徴ともされてきました。花言葉は「必ず来る幸福」
イベリス(アブラナ科)
南ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア原産です。外側2枚は大きな花びら、内側2枚は小さな花びらで、一つの花は小さいですが、まとまってボール状になります。花色は白が多く、ピンク、赤、紫などもあります。乾燥に強く花期も長いです。イベリア半島に多くの自生しているのでイベリス。和名は常盤薺(ときわなずな)屈曲花(まがりばな)です。英名はキャンディタフトで「お菓子の花」という意味です。花言葉は「心を引き寄せる」「無関心」「無頓着」
クリサンセマム・ムルチコーレ(キク科)
アルジェリア原産の一年草。乾燥した地域が原産なので葉はやや肉厚です。茎はよく枝分かれして(multicaule は 茎が多いという意味です。)地面を這うように広がります。冬にはタンポポのようにロゼット状になり、春~初夏に花茎を伸ばして、一重で丸い鮮やかな黄色い花を咲かせます。クリサンセマム属からコリオステフス属に変りましたが、園芸の世界ではクリサンセマム・ムルチコーレで流通しています。英名はイエローデージーです。花言葉は「高潔」「誠実」
ウエストリンギア(オーストラリアン・ローズマリー)(シソ科)
オーストラリア南東部原産の常緑性低木です。細長い葉や花のかたちが同じシソ科のローズマリーに似ているところからこの名付けられました。ローズマリーは茎葉に芳香がありますが、この植物は芳香はありません。開花期間は春~秋、淡い紫色の小花を咲かせます。よく枝分かれして棒状の葉をたくさんつけ、株全体でこんもりした優しげな姿になります。オーストラリアで岩壁などに自生しているので、乾燥に強く過湿に弱いです。秋から春まで次々と律儀にかわいい花を咲かせることから花言葉は「誠実」
ビバーナム(スイカズラ科)
東アジア、南ヨーロッパ原産です。様々な種類があり、日本のガマズミやオオデマリも含まれますが、園芸種としては外国産をさすことが多いです。常緑なので常緑ガマズミ、またセイヨウガマズミ、西洋テマリカンボクなどの別名もあります。春に白や淡いピンク色の小さな花が集まって咲きます。秋になる実は始め赤色をしていますが、熟すと光沢のある美しい青色になります。とても丈夫な種類で、コンパクトにまとまり、耐寒性、耐暑性、日照不足にも強く育てやすい花木です。花言葉は「茶目っ気」「誓い」「私を見て」
雛人形
日ごとに昼が長くなり、風の暖かさ・香り・湿り気が変わってきました。春の予感にワクワクする日々です。 先日、庭の片隅にフキノトウを見つけました。レシピを探して、ニンニク・松の実・アンチョビを加えてパスタソースを作ってみました。ほろ苦さが春を感じさせて、とても風流な気分になれました。
 我が家では2月の下旬、「雨水」にあたる日に、リビングに雛人形を飾りました。この日に飾ると、その家の女の子は良縁に恵まれるとのことです。ずっと殺風景だった部屋が、急に艶やかで華やかになりました。
この雛人形は、とても古いものです。ちょっとくすんだ色合いで、目が細い古風な顔をしています。私の幼い頃に、両親が買った物です。 当時まだ若かった両親はお金がなく、とても一度に雛人形セットを買うことはできませんでした。 そこで、毎年一段ずつ買い足していったそうです。五段目の仕丁(しちょう)の人形が届いた日の事は、私もうっすらと覚えています。
当時住んでいたのは、団地の2DKだったので、四畳半の部屋が雛人形で占領され、その片隅で弟と窮屈に眠る事になりました。それでも、とても心がうきうきしたのを覚えています。
雛人形を飾る頃は、寒くて、時には受験シーズンになります。定期テストや受験がうまくいかずに、肩を落として帰ってくる日も多かったのです。疲れて冷え切って帰宅した時に、緋毛氈の明るい色と雛人形が目に入ると、そこだけは春の光が暖かく射し込んでいるように見えて、心がほっと安らいだものでした。
あれから長い年月が流れました。雛人形はこんどは長女を見守ってくれる存在になりました。 傷んでしまった道具類を買い替えて、一見すっきりと新しくなりましたが、人形そのものは古いままです。
今、長女は遠い外国で暮らしています。 雛人形は今年は特に遠くまで目をこらして、ハラハラしながら、見守ってくれているのかもしれません。
ページトップへ