2015年12月 (December)

 
12月になりました。この時期には「山眠る」という季語があり、冬の山の静まり返った様子を表すそうです。人間には、ゆっくりできない慌ただしい季節がやって来ますね。
  イチゴノキ(ツツジ科)
ヨーロッパ南東部・アイルランド原産の常緑性の低木です。本来は乾燥した夏に適応しているのでカリフォルニアなどのアメリカ西海岸で庭木として一般的になっています。花茎が垂れ下がりドウダンツツジに似た壺形の小さな白い花をたくさん付けます。赤く熟した果実の表面がイチゴを連想させるところから、「イチゴノキ」「ストロベリーツリー」ともよばれますが、果実はむしろヤマモモに似ていて、ジャムや果実酒にします。花言葉は「後が楽しみ」。
エリカ(ツツジ科)
ヨーロッパ・アフリカ原産で日本で出回るものは南アフリカ種のものがほとんどです。種類が多く、花色も豊富で小さな花が一杯に咲く姿が可憐です。繊細な葉が上品な印象です。元々自生していた場所と同様の酸性土壌を好みます。胆石を砕く薬効があるのでギリシア語のエイレケー(砕く)よりこの名がつきました。近縁のカルーナと合わせて「荒野」の意味も含めて、英語ではヒース、ドイツ語ではハイデと呼ばれます。花言葉は「孤独」。写真はウィンターファイアーと呼ばれる冬咲きの品種です。
イソギク(キク科)
日本原産の伊豆などの海岸の崖地に生育する多年草です。崖では株状ですが、平地ではカーペット状に生育します。舌状花の無い筒状花だけの
小さな黄色の花をつけ、葉の裏には白毛が密生していて縁まであるので葉が白く縁取られているように見えます。毛が多いのは乾燥しやすい海岸崖地に適応したのでしょう。四国の太平洋沿岸等に分布するシオギク(潮菊)と似ています。花言葉は「感謝」「清楚な美しさ」「大切に思う」「静かな喜び」。
カンツバキ(ツバキ科)
サザンカとツバキ C. japonica との種間交雑園芸品種群で常緑中低木です。ツバキよりサザンカにちかい種類で、図鑑などではサザンカの項目のなかでカンツバキを紹介しているものが多いです。花弁と雄蕊が合着している椿の特徴、花弁が一枚ずつ散る山茶花の特徴を合わせ持ちます。一重咲きのものは少なく、八重咲きや千重咲きの品種もあり、冬の寒さの中で華やかに開花します。花言葉は「申し分のない愛らしさ」
ツワブキ(キク科)
日本・台湾・中国南部原産の多年草です。別名は石蕗・艶蕗です。葉がフキのように丸く、光沢があるので艶葉蕗(つやばぶき)からこの名が付きました。美しく日陰でもよく育つので古くから庭園の下草として利用されてきました。晩秋に花茎を伸びて黄色い花が咲き、花後はタンポポのような綿毛になります。沖縄では「ちぃぱっぱ」と呼ばれます。良く似ているフキ(別種)は夏緑性で春にフキノトウが開くのに対し、ツワブキは常緑性で晩秋に開花します。花言葉は「困難に傷つけられない」
ペルネティア・ムクロナタ(ツツジ科)
チリ・アルゼンチン原産。球形の果実が美しい鉢花です。果実の色は赤が基本色ですが、改良が進んで、桃、紫、赤褐色、白など多彩になっており、いずれも大理石模様の光沢があります。春にドウダンツツジに似た吊り鐘状の白くて可憐な花がつき、秋~春まで楽しめる果実を鑑賞します。毒性があるので実は食べられません。白や淡桃の系統は「真珠の木」の名前で流通しています。18世紀にフォークランド諸島や南アメリカへ航海したフランスの植物学者で作家のAntoine Joseph Pernettyの名にちなんでこの名が付きました。花言葉は「実る努力」

     寒い朝
 あ今年は暖かな日が長く続きましたが、いよいよ寒くなってきました。朝はぬくぬくした布団からなかなか抜け出せなくて、ついぐずぐずしてしまいます。
こんな朝は、昔我が家にいた子犬の事を思い出します。もう、15年も前のことです。犬好きな長女の願いで、我が家は盲導犬のパピーウォーカーを引き受けました。
盲導犬というと聞き分けが良くて、お行儀が良くて・・と思う方も多い事でしょうが、パピー(子犬)は全く違います。やんちゃで、人懐っこくて、好奇心が強くて、家中に嵐を巻き起こしました。
子犬にとって、朝は一番寒くて寂しい時です。でも 盲導犬は「ワン」とほえてはいけません。「ワン」と吠えるとたちまち誰かから「ワン NO!」と叱られます。
そこで夜が明ける頃からでしょうか。遠慮がちに小さな声で「ヒャ~ン ヒャヒャ~ン ハヒ~ン!」と ワン以外のあらゆる言葉で私たちに必死に訴えます。
目覚し時計がなると もう我慢できません。その声はどんどん大きくなります。たまりかねてケージのドアを開けると とび出して誰かの布団に潜り込みます。
起きるまでのほんの5分程なのですが 暖かい子犬がぴたっとくっついてくるのは、私たちにも、心安らぐ、とても楽しみな時間でした。
間と子犬が一緒に寝る事は、あまり良くないのかもしれませんが、これから厳しい訓練が待っている子犬に 私たちは「今だけ!ほんのひと時だけ!」と受け入れていました。私たちのほうも、心のささくれだった部分を子犬に癒されているのを感じていました。
こうして、ボランティアをしたのかされたのかわからないような一年は、瞬く間に過ぎ去り、子犬は私たちに多くの思い出と写真を残して、訓練所に戻りました。
もうずっと昔の話なのに、寒い朝には時々、甘えん坊の子犬の、あの鳴き声と、むくむくとした暖かな感触が、鮮明に蘇ってきます。
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