爽やかな季節になり、日の暮れるのが急に早くなってきました。窓を開けると、太鼓の音やわずかな煙の香りとともに、涼しい風が吹き込みます。
透明な空気も、爽やかな風も、ふわっと空に広がっているうろこ雲も、秋そのものです。待ちわびた季節がやっと来てくれました。
あ先日、私は夫と旅行してきました。旅行自体は、お天気にも恵まれ、楽しいものだったのですが、普段は気にも留めていなかった色々な事に気づき、ちょっと考えてしまいました。
あ二人とも目が悪くなっていて、バスが近づいてきても、行き先表示がよく見えません。
「これ、どこ行き?」「何番?」「見えない!」「どうしよう?」「あっ!やっぱりこれみたい。乗ろう!」と慌てて乗り込んだかと思えば、耳も悪くなっていたようで
「今のアナウンス聞こえた?」「いや、聞こえなかった!」「次かな?」「わからん!」「あっ!やっぱりここで降りるんや!」と慌てて降ります。
案内板・あるいは表示板もなかなか見つからず、見つかっても遠くからでは読めません。ウロウロと遠回りしてしまうことが何度もありました。
あ慣れた土地では何となく体が覚えていてできていることが、旅先では実に苦労しました。普段はこういう事が得意なはずの夫は、現実を突きつけられて、戸惑っているようでした。
あどんどん成長していた植物たちが、秋になって葉を落としていくように、私たちの人生も秋になり、老いは着々と進んでいたのですね。
あ少しショックでしたが、自然の摂理は、受け入れなくては仕方がないです。ゆっくりと下り坂の人生になっても、工夫すればきっとまた別の味わいも見つかることでしょう。もしかしたら、熟成の進んだ良いワインのように、何か魅力を醸し出せるかもしれません。そして、たとえできないことが増えていっても、まだまだできる事はいっぱいあり、人生はおおいに楽しめます。
あとりあえずはこの美しい秋の光景を、自分にできる楽しみ方で、存分に楽しみますね。
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