2015年6月(June)

 六月に入り、日中は爽やかな風が欲しくなります。六月を水無月以外に風待月・涼暮月とも呼んだ、昔の人の気持ちが分かるような気がします。
京都では6月30日の「夏越しの祓(なごしのはらえ)」に「水無月」という和菓子をいただく習慣があるそうです。 
スタージャスミン  (キョウチクトウ科)
中国・台湾原産の常緑のつる性木本です。花の形が星型でジャスミンのようないい香りがするのでスタージャスミンと呼ばれていますが、モクセイ科のジャスミンの仲間ではありません。ボルネオソケイという植物の英名もスタージャスミンなので注意が必要です。唐定家蔓(トウテイカカズラ)台湾定家蔓(タイワンテイカカズラ)の別名もあります。つる性で長く伸びるため、フェンスに絡ませて栽培されることが多いです。茎や葉は生薬で絡石藤といい、止血、鎮痛などの薬効があります。
ガクアジサイ(ユキノシタ科)
関東南部から紀伊半島・四国の太平洋岸に自生します。中央部の小さな萼片をもつ両性花と、周辺部の3-5枚の大きな萼片をもつ装飾花からなります。この装飾花を額縁に見立てこの名がつきました。栽培品種であるアジサイ の原種ですが、江戸時代に来日したチュンベリーは アジサイに学名を付けた時にガクアジサイを見逃しました。後に原種である ガクアジサイに名前が付けられため、学名的にはアジサイの品種になります。画像にカーソルを置くと八重咲きの物に変わります。
フロミス・フルティコサ(エルサレムセージ)  (シソ科)
地中海沿岸原産の常緑性の低木です。葉のフチや裏側は星状毛と呼ばれる白い毛が生え、葉の輪郭が銀白色に縁取られて見えます。花は鮮黄色で小さいですが、輪生状に固まって咲きます。花期は5~9月です。和名はキバナキセワタです。流通名はエルサレムセージですがセージとは別属です。レモンのような香りが爽やかなのでドライフラワーやポプリにも使われます。
アスチルベ(ユキノシタ科)
東アジア原産の多年草です。初夏の庭を明るく彩り、半日陰のシェードガーデンにも適し、梅雨の長雨にも元気に咲き続けます。アスチルベ属には25種ほどがあり、日本の山野にはチダケサシやアワモリショウマなど6種が自生しています。これらを元に、主にヨーロッパで作出された園芸種なので日本のジメジメした気候にも順応し丈夫で育てやすいです。円錐形の花穂を伸ばしフワフワと煙るように見える独特の花が魅力的です。花言葉は「繊細」「消極的なアプローチ」「心のまま」です

ヒペリカム・アンドロサエマム(オトギリソウ科)
中央アジア~地中海沿岸原産で河岸や海岸沿いの岩礫地や灌木帯に生育します。頂部近辺に固まって黄色い小さな花が咲き、赤やピンクの実は熟すと紫~黒っぽくなります。果実が丸く光沢があるため小坊主弟切(こぼうずおとぎり)ともよばれます。改良種として黄金葉やピンクと白の斑入り葉が出回っています。花言葉は「きらめき」「悲しみは続かない」(花は儚く散ってもすぐにかわいい実が見られるから)です。
アルストロメリア(ユリ科ユリズイセン科に分類する時もあります
南米に60~100の野生種が分布します。砂漠・森林など生育する場所も性質もまちまちです。原産地とその花姿から「ペルーのユリ」「インカ帝国のユリ」などの異名があります。地下茎を伸ばして地中に白い塊根をつくります。花の最盛期は5月~6月ですが、品種によっては晩秋まで花を咲かせます。花色は白、オレンジ、ピンク、赤などカラフルで花びらには条斑というすじ状の模様がはいるのが特長です。葉はなぜか180℃くるりとねじれて裏側が上を向きます。


平穏を支えてくれるもの
   植物たちの成長が早い季節です。枝がどんどん伸び、ちょっと目を離すとあちこちで雑草がにょきにょき生えてきます。毎日の水やりも必要で、庭仕事も忙しくなる時期です。
4月の「今月の花」で老いゆく両親の話を書きました。だんだん体が弱り、不安を口にしていた高齢の親たちは、寒い季節が過ぎたせいか随分元気になりました。
先日行った時には、真新しい自動潅水システムを披露してくれました。あまり広くない実家の庭には、ぎっしりと木が植えられていますが、そこにぐるっと、黒いチューブが設置されていました。
母は、とても嬉しそうに説明をしてくれました。
「ずっと、蚊に刺されながら水を撒くの、大変やったんやから~~!!」
「来てくれはったSさん、ほんまにやっさし~~い人やったわ~~♪♪」
(註 Sさんとは、エコワークスの兄弟会社・ランドケアのS社長の事です。)
元技術屋の父はもう少しひねった喜び方でした。
「ここに設置すると、センサーが雨滴を感知して、水を撒くかどうか機械が判断するんや。」

「最初は朝8時に〇〇リュウベイ(立方メートルの事ですかね?)で設定したけど、最近は気温が高いから朝夕に△△リュウベイずつ撒くように設定してるんや。」
「土木工事には、水締めというやり方があって、水をいっぱい撒くと地盤が固まるんや。でも、これを使うと水が少しずつ出るから、地面が固まってしまわないんや。」 (註  あくまで個人の意見です。)
と、まるで、自分が発案して設置したかのように、見ようによっては開発者のように語っていました。
両親は昔の人間なので、便利な道具に頼ることを怠惰と考えていて、私の勧めになかなか応じてくれませんでした。その両親が、今は口々にそれぞれの喜び方で、自動潅水システムを歓迎しています。
私も一安心です。でこぼこの庭で水撒き中に、もし父が転んだら・・・骨折→入院→寝たきり→認知症 などと、悪いほう悪いほうに、考え過ぎていましたから。
高齢の親は、今のところ元気に仲良く、暮らしてくれています。これは、たくさんの幸運が重なって、たまたま上手くいっているだけかもしれません。ちょっとしたトラブルで、儚く崩れてしまう事もあるでしょう。
でも、その儚いかもしれない平穏は、色んな便利なものを使って工夫することで、結構長く続けられそうです。
これからも、両親が住み慣れた家で、緑がすくすく育つ庭を楽しみながら、のんびり過ごせる日々が、ずっと続いて欲しいと心から願っています。
 

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