木々を彩っていた紅葉がハラハラ舞い落ち、カサカサと道端に吹き寄せられています。絵になるけれど、ちょっと切なく、物悲しい光景ですね。紅葉の盛りが過ぎた、今の泉北ニュータウンも美しいです。
先日、夕暮れの空がとても美しくて、しばらく立ち止まってしまいました。気のせいかもしれませんが、この季節の夕暮れは、一段とすっきり美しいように思えます。
調べてみると、12月の季語に、「冬茜」という言葉があるそうです。
美しい言葉ですね。冬の寒さと対照的な、優しい茜色の夕焼けの空が、映像のように目に浮かびます。
そう言えば、学校に通っていた頃、寒い時期に、こんな夕暮れを見て、心がほっと暖かくなった記憶が多くあります。
私の育った家は、学校からも駅からも、西の方角にありました。つまり、夕方帰宅する時には、いつも夕陽に向かって歩きます。 楽しい一日を過ごして、足取りも軽く帰る時もありましたが、そうでない日も多かった気がします。
テストの結果が悪かった日。
表現が下手で友人を傷つけてしまった日
気後れして、華やかな人達と上手く関われなかった日。
思春期には誰でも、悩みを抱えつつ、明るく振る舞っているというのが、今なら分かりますが、 当時は自分だけが、愚図で駄目な人間に思えていました。
寒い風に、足取り重く歩く私を、暖かな色の夕陽が照らします。玄関の所で元気をかき集め、できるだけ明るい顔と声で「ただいま~~」と帰宅したものでした。石油ストーブの匂いのする暖かい台所では、西日で染まった窓を背に、母が夕食の支度をしています。
時は流れ、今は疲れて帰宅する家族を出迎える立場になりました。帰るなり愚痴や文句をいっぱい口にする日もあれば、心に何か抱えているのに、私には話せない様子の時もあります。もちろん、求められてもいないのに、ずかずかと心の中に入り込んで、アドバイスする訳にもいきません。でも、遠くからさりげなく、心をほっと寛がせる、あの頃の夕陽のような暖かさを、ほんの少しだけでも伝えたいと思っています。
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