2014年10月(October)

 ひんやりとした風に乗って、キンモクセイの香りがします。待ちに待った季節です。
夏を耐えた植物たちも、心地よさそうに秋の優しい日差しを浴びています。

レウコフィルム・フルテスケンス(ゴマノハグサ科)
メキシコ~テキサスの乾燥地原産です。シルバーリーフと花のコントラストが美しくよく分枝して高さ1~3m程度になります。葉は短毛に覆われて銀白色、花は紫桃色で1~2.5cm程度の大きさです。ギリシア語のleuco(白)とphyllum(葉)からこの名がつきました。英名はTexas sage。タイ語のニーオンの名でも流通しています。日当たりのいいところで乾燥気味に育てると多くの花をつけます。
カラミンサ(シソ科)
地中海沿岸に自生する常緑多年草です。小さな白い花の美しさのほか、爽やかなハーブの香りが楽しめます。日本で流通しているカラミンサの仲間で、最も流通量が多いのが写真のカラミンサ・ネペタです。少し紫色がかった白いかわいらしい花を、初夏から秋にかけていっぱい咲かせます。また、葉はミントに似た香りはしますが、ミントの仲間ではなく、ミントのように地下茎で広範囲に広がって庭を侵食するということはありません。こぼれ種でも増え、株もそのままで越冬します。

ペンタス(アカネ科)
熱帯アフリカ、マダガスカル原産で、初夏~秋に開花します。暑さに強くよく分枝し、ピンク、白、赤の花がまとまって咲きます。名前はペンタ(ギリシャ語で”5”)に由来し、花びらが星形に5つに裂けているのでこの名が付きました。英名はEgyptian star cluster(エジプトの星の群れ)とロマンチックです。同じアカネ科のサンタンカに花姿が似ていて草花(サンタンカは木)なのでクササンタンカとも呼ばれます。花言葉は「願い事」「希望は実現する」。
ヒガンバナ(ヒガンバナ科 ユリ科に分類される場合もあります
中国揚子江付近が原産の全草有毒な多年生の球根性植物です。リコリス曼珠沙華(マンジュシャゲ、またはマンジュシャカ (サンスクリット語 で天界に咲く花という意味 )とも呼ばれます。道端などに群生し、写真のように白いものもあります。9月に花茎が地上に出て先端に包が付き、5 – 7個前後の花が輪生して咲きます。花言葉は「独立」「情熱」「再会」「あきらめ」
ミセバヤ(ベンケイソウ科)
日本原産の多肉性宿根草です。玉緒(たまのを)とも呼ばれます。葉は銀緑色で厚みがあります。茎は横から下に伸び、
10月-11月頃に紅色の小花を茎の先端に球状にまとめて咲かせます。秋の深まると葉が美しく紅葉します。高野山の僧がこの花を見つけ、和歌の師匠である冷泉為久卿に送る時に「君に見せばや(君に見せたい)」というの添え書きがあったのでこの名がついたといわれています。
テイキンザクラ(トウダイグサ科)
西インド諸島が原産の常緑低木です。花がサクラに似ているので、南方の兵が故郷の桜を想いナンヨウザクラと呼びました。しかしその名は他の植物に使われていたので葉の形がバイオリン(堤琴)に似ているのでテイキンザクラになりました。別名はタヒチアンチェリー。性質は強健で花期も長いです。真夏には花をつけてなかったのですが、涼しくなってまた咲き始めました。花言葉は「優れた美人」。
         生活の中の美
  ひんやりとした風が心地いい季節になってきました。並木道を歩くと、木漏れ日が柔らかく降り注ぎます。

私は先日、京都に行ってきました。和服姿の若い女性が多く、優雅な街並みと似合って、とても風情があります。円安の影響でしょうか?欧米からの旅行者も多く見かけましたが、彼らに自慢したくなるほど、京都の街は洗練されて美しいです。

でも、私は華やかな都会の人ごみに、少し疲れてしまいました。

随分昔の事になりますが、病気になった時に、友人が花の写真集を送ってくれました。
表紙には、「アール・ドゥ・ヴィーヴル」(生活の中の美)と書いてありました。
若い時にはパリでファッション業界で活躍していた女性が、小さなバラの村で花の世話をして暮らす話、19世紀からずっとスミレと共に生きる村の話などが書いてありました。
煌びやかではないけれど美しい写真と共に、当時の私にはとても心に伝わる物があったのを覚えています。

若くて、元気いっぱいの時には、どんどん上を目指して、都会で華やかに暮らすもの良い事でしょう。でも、リタイアしたり、頑張れなくなった時には、静かな自然の豊かな所で、花と共に暮らすのも素敵です。
「アール・ドゥ・ヴィーヴル」とは、日々の生活を快適にするための方法、生活術だそうです。おいしい食事をいただく事、植物を育てる事、家に花を飾る事もすべてを含むそうです。「アール・ドゥ・ヴィーヴル」。この爽やかな季節なら、結構簡単に実践できそうな気もします。
新しい寄せ植えを作りましょうか?
庭の花を小さなガラス瓶に生けましょうか?
秋の風を味わいながら、ゆっくりと生活の中の美を楽しんでいきたいです。

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