2013年1月(January)

今年もエコ・ワークス、今月の花をよろしくお願いいたします。
今月は温室の中で出番を待つ植物達も紹介させていただきます。

 シクラメン (サクラソウ科)
地中海沿岸原産。ハート型の葉は縁がギザギザで、銀白色の模様が入ります。花びらは上に反り返ります。受粉すると花茎がくるくる巻く姿からギリシア語のキクロス(らせん)よりこの名がつきました。「シクラメンのかほり」という歌がきっかけで、それまであまり香りのなかったシクラメンに「香り」が求められるようになり「芳香性シクラメン
」も開発されました。

 アセ (ツツジ科)
本州、四国、九州に分布する常緑性低木です。早春にスズランのようなつぼ形の花を房状に付けます。葉は濃いグリーンで新芽はやわらかな光沢のある赤色です。古くから愛され万葉集にも読まれています。「馬酔木」と書くのはアセボトキシンという有毒成分をもち、馬が食べると神経が麻痺し酔ったようになるからです。基本種は白花ですが園芸種には赤やピンクもあります。

 エリカ(ツツジ科
アフリカ、ヨーロッパに600種以上分布する常緑性の樹木です。英語ではヒース(エミリーブロンテの描く荒涼とした原野が浮かびますね。)ドイツ語ではハイデと呼ばれます。胆石を砕く薬効があるのでギリシア語のエイレケー(砕く)よりこの名がつきました。女優の沢尻エリカさんの名はこの花が由来だそうです。花言葉は「孤独」。写真はウィンターファイアーと呼ばれる冬咲きの品種です。

  ハボタン(アブラナ科)
グリーンに縁取られた白や赤の葉は、大輪の花が咲いたような美しさで、正月飾りに欠かせません。葉姿を牡丹の花に見立てこの名がつきました。原産地の西ヨーロッパでは古くから野菜として扱われ、大和本草(1709年)に『オランダナ』の名前で登場する植物がハボタンとされています。味は「よい」と記されていますが、葉を観賞するものではなかったようです。

 
2011.2  ヒメコウジ(ツツジ科)
北アメリカ原産の樹高10~25cmの低木です。6~8月に葉の脇に赤味を帯びた白い釣鐘形の花を下向きにつけます。花の後につく実は液果状のさく果で、9~翌3月頃真っ赤に熟します。英名はチェッカーベリー(checkerberry)ですが属名のゴーテリアの名でも流通しています。葉や実にはサリチル酸メチルが含まれるので、カナダのエスキモーは鎮痛薬として用いたといいます。花言葉は「明日の幸福」
  クリスマスローズ(キンポウゲ科)
ヨーロッパ~西アジア原産です。クリスマスの頃に咲くのはへボラス属の中でも「二ゲル」一種で、他は早春に咲きます。花びらに見えるのは萼で、花びらは退化して小さな蜜腺となり、おしべの付け根を囲むような形で小さく残っています。ほとんどのクリスマスローズは下向きに花を開きますが、写真の種は大きな花を上向きに開きます。花言葉は「中傷」「誹謗」「中毒」「悪評」「発狂」など毒々しいです。実は有毒なのです。

 

                     新しい年に                                                     

  新しい年になりました。旧暦では一月から春が始まるそうです。まだまだ寒いですが、新しい年を迎える華やいだ気分には、やはり「初春」という言葉がふさわしいです。
 この時期には、よく子供の頃を思い出します。大掃除も済み、すっかり片付いて、お正月の飾りがされた家は、いつもと違って清々しく凛としていました。集まってくる親戚の叔父さんも叔母さんも従兄弟達も、着飾ってちょっと気取って華やかな雰囲気でした。私は、とても緊張しながらも、ワクワクとお正月を過ごしたものでした。
 元旦には年神様という新年の神様が、一年の幸福をもたらすために各家庭に降臨するとされています。お正月とは、年神様という大切なお客様をおもてなしする行事だったのですね。 
 お正月は特にそうですが、自然や季節を大切にした日本の繊細なしきたりや文化は、世界に誇れる物だと思います。そして、それを表現するのに、実に様々な素晴らしい言葉がいっぱいあります。
 私が
この「今月の花」を担当させていただいて3年になりますが、原稿を書くために検索をしていて、時々ハッとするほど美しく繊細な言葉に出会います。
 これからもできるだけセンサーを鋭敏にして、折々の自然の細やかな表情を見つけ出し、言葉を探し選んで、皆様にお伝えできればと思っております。
 よろしくお願いいたします。

                                         
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