ヤブミョウガ(№667)

 晩夏のころ、山道を歩くと直径5mm程度の白色から青紫色の果実を穂状につけた山草を見ることがあります。ヤブミョウガといいツユクサ科ヤブミョウガ属の多年生草本です。
 関東以西から沖縄まで自生する日本在来種で、やや日陰で湿気のある林縁に多く見られます。5月頃発芽し、草丈50~100㎝になり、ミョウガに似た長さ15~30cmの葉を茎に互生に生じます。葉の様子がミョウガに似ていることからヤブミョウガと呼ばれますが、ミョウガ(ショウガ科)とは全く別種です。8~9月に直径6~8mmで白色3枚の花弁と、よく似たがく片3枚を持った花を、花茎に5~6段の輪状につけます。花は1日花です。個々の花の開花時期はバラバラで、果実と花が共存する状態になります。花には両性花(雌しべが突出している)と雄花(雌しべは退化)が共存しています。果実は白~緑~青紫と変わりますが、熟しても裂開しないため最終的には青紫色の熟果が茎に並ぶことになります。晩秋、この球形の果実を手で押しつぶしてみると、中には不定形の種子が多数入っています。不定形の種子が
どのようにして球形に収まっているのか不思議です。この種子以外にも、地下茎で増殖することができるため群落を作ることが多いです。
 展葉前の新芽は山菜として利用されます。地下茎は漢方薬「杜若(とじゃく)」として頭痛に有効だそうです。青紫色の果実を鑑賞するため庭園に植えられることもあります。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲ヤブミョウガ群落
▲ヤブミョウガ
▲ヤブミョウガの両性花(雌しべが突出)
▲ヤブミョウガの 雄性花(雌しべは退化)
▲ヤブミョウガ果実
▲ヤブミョウガ果実

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