センブリ(№669)

 秋に日当たりのよい草原を歩くと、足元で咲く白い花を見つけることがあります。リンドウ科センブリ属のセンブリです。
 草丈10~20cm、茎の断面は四角く薄紫色、茎葉は長さ1~3㎝の細長い線形葉で対生につきます。花は8~11月、5弁の白い花を上向きに咲かせ、各花弁には5本の淡紫色の線が入り、基部近くに2個の蜜腺とその周囲に多数の細毛を有します。
 日本の民間薬として古くから知られますが、最初は殺虫効果が期待され、1713年の「和漢3才図会」にはノミ、シラミ除けとして記載されているそうです。江戸末期以降、腹痛を治す薬として日本固有の生薬(漢方にはない)である「当薬」(当に薬である)と呼ばれるようになりました。センブリの名前は千回煎じてもまだ苦いとのことからつけられたようで、全草苦く最近は育毛剤にも使われるそうです。
 薬草としての採集、園芸目的の採取、草地の減少などで自生種は減少しており、生薬としては長野県、高知県で栽培されているそうです。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲センブリ
▲センブリの花

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