ムラサキケマン(№580)

 4~5月の人里近くのやや湿った山道でしばしば目にする紫色の花にムラサキケマンがあります。
 ケシ科キケマン属の越年草で、20~30cmの茎を直立させ先端に房状の花をつけますがキケマン属の花は変わった形をしています。花弁は4枚で、外側で上の1枚は袋状になり後方へ突き出ています。この中に蜜腺があり蜜を出します。内側の2枚は先端が合着しており、その内側に1本の雌しべと2本の雄しべが見られます。葉はセリのように細かく切れ込んだ葉を何枚も付けます。果実は長さ2㎝程度で下垂し、中に黒い種子が10個ほど並んで入っています。熟すと、果皮がはじけ中の種子を飛ばす自動散布をします。また、種子にはエライオソームがありアリによる動物散布もします。
 全草有毒(アルカロイドのプロトミン含有)で、この葉を食草としているウスバシロチョウも体内にこの毒を保有しています。
 ムラサキケマンの仲間には、地下に丸い塊茎を作るエンゴサク類(ジロボウエンゴサクなど)や塊茎を作らないキケマン類(ミヤマキケマンー写真など)があります。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲ムラサキケマンの群落
▲ムラサキケマンの花
▲ムラサキケマンの花
▲ムラサキケマンの果実
▲同属のミヤマキケマン

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