ヘビトンボ(№521)

 ヘビトンボという名前の昆虫がいます。トンボと付いていますがトンボの仲間ではなく、ウスバカゲロウ(アリジゴク)に近い仲間です。
 ヘビトンボ目ヘビトンボ科の昆虫で日本全国の清流で6~9月に成虫が発生します。成虫は体長40mm、翅の開長100mmの大型の昆虫で灯火によく集まります。体は黄色、透明の翅に黄斑があり、静止するときは翅を背中の上で屋根のように重ねます。大あごが発達しており、嚙みつかれるとかなり痛いですが、普段は樹液や小昆虫を食べているようです。
 幼虫は渓流に棲む水生昆虫の一つでマゴタロウムシまたはカワムカデと呼ばれます。清浄な水に発生するため、水質を示す指標生物とされています。幼虫は完全な肉食性で2~3年を幼虫で過ごします。老熟幼虫は陸に上がり、石の下などで蛹になりますが蛹もある程度の活動ができ、大きな大あごをもっていて外敵にかみつくこともできるようです。
 幼虫は日本で独自に誕生した民間薬として子供の疳に利用され、「奥州斎川名産孫太郎」として日本全国に販売されたそうです。現在も奥州斎川(宮城県)には田村神社という神社があり孫太郎虫供養碑や孫太郎虫資料館などもあるそうです。火にあぶって酒の肴にしたり、長野県ではザザムシの一つとして食用に供されることもあります。
 名前は長い頭と大あごでかみつくところから付けられたようです。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲ヘビトンボ成虫
▲ヘビトンボ成虫

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