ミソハギ(№340)

 ミソハギは盆花としてよく知られています。用水路脇、水田畦際、農耕地周辺の湿地に多く8月に開花することからショウリョウバナとも呼ばれます。溝に生えるハギのような花あるいは禊(みそぎ)に使った花の意味でミソハギと呼ばれるようです。
 開花中のミソハギの花を正面から見ると、雌しべが花弁より長くその周囲に雄しべが見える花、雄しべのみが見え中のほうに雌しべが見える花、覗き込むとかろうじて雄しべだけが見える花の3種類があることに気がつきます。ミソハギの雄しべは12本あり、その内6本は長く、6本が短いのが普通です。雌しべの柱頭は長い雄しべより長く飛び出したもの(長花柱花)、長い雄しべと短い雄しべの中間の長さのもの(中花柱花)、短い雄しべより更に短いもの(短花柱花)の3種が見られます。このように花によって雌しべ、雄しべの長さ関係が異なる花を異花柱性(異形花柱性、異形蕊性)と呼びます。代表的なものとして、2つのタイプのある2形花柱性(サクラソウ、ナス等)、と3形花柱性(ミソハギ、アサザ等)があります。このような花を咲かせる植物は基本的には自家不和合性でお互いに別タイプの花同士で受粉しやすい性格を持っています。これも自家受粉を防ぎ出来るだけ良質の子孫を残すための工夫といえるでしょう。
 茎の断面は四角で葉は十字対生です。花のタイプは株ごとに一定のようです。全草を乾燥し漢方薬の千屈菜として下痢止めなどに使われるそうです。
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▲長花柱花
▲上から  雌しべー長い雄しべー短い雄しべ
▲中花柱花
▲上から  長い雄しべー雌しべー短い雄しべ
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▲短花柱花
▲上から  長い雄しべー短い雄しべー雌しべ
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▲ミソハギ

シロシタヨトウ(№534)

 霜が下りる12月の寒い朝、キャベツ畑でキャベツの葉を食べるイモムシを見付けました。シロシタヨトウの幼虫です。チョウ目ヤガ科のガの幼虫です。
 シロシタヨトウの成虫は、前翅長18~20mm、赤紫褐色で不明瞭な斑紋があり、後翅は灰白色の中型のガで後翅の色からシロシタヨトウと呼ばれています。
 幼虫は45mm程度に成長し気門に沿った黄白色の太い線が見られます。通常、成虫は年2~3回発生し5~6月と9月に見られます。写真の幼虫は間もなく土の中で蛹になり越冬するものと思われます。この幼虫は、きわめて多食性でその食草はキク科、シソ科、セリ科、アオイ科、マメ科、バラ科、ナデシコ科、ザクロ科、アブラナ科、ミソハギ科、スベリヒユ科、アヤメ科、アカザ科、タデ科、ネギ科などの他クワ科、ニレ科等の樹木をも食害することがあります。葉の裏に数十~数百の卵をかためて生み、若齢幼虫期は集団で食害しますが、3令以降は分散し、主として昼間は地下に潜み、夜間に食害するようになります。産卵数は多いのですが、天敵が多いのでしょうか、大発生することは少ないようです。
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▲キャベツを食害するシロシタヨトウ幼虫
▲キャベツを食害するシロシタヨトウ幼虫

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レンギョウ(№441)

 早春、あちらこちらの庭に枝一杯黄色い花をつけた低木が見られるようになります。これはレンギョウの仲間で国内では、本シリーズ№110に掲載したシナレンギョウを始め、レンギョウ、チョウセンレンギョウのいずれかになります。この3種は外見上殆ど見分けることが出来ませんが、種類としては完全に分類された別種になっています。
 この仲間は、成長が早く樹形を整えるために剪定されることが多く、自然の姿はなかなか見られませんが、レンギョウは花数も多く、豪華に思えます。これら3種とも、外来種で、区別点は茎を縦に裂き、その髄を見るとレンギョウは中空、シナレンギョウは節の部分を含め、髄に階段状の仕切りが続きます。チョウセンレンギョウについては、私はまだ確認していませんが節を除く髄には階段状の仕切りがあるそうですが、交雑種も存在しているようです。いずれの花にも、長花柱花(雌しべが雄しべより長い)と短花柱花(雌しべが雄しべより短い)があるようです。長花柱花、短花柱花については
、本シリーズのサクラソウシナレンギョウミソハギの項を参照ください。
 日本原産種としてはヤマトレンギョウ、ショウドシマレンギョウがありますがどちらも絶滅危惧種とされており、生息地は局限されています。
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▲レンギョウの花
▲レンギョウの茎縦断面
▲シナレンギョウの茎縦断面(階段状仕切りが見える)

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