ヒメマルカツオブシムシ(№172)

 昆虫標本保存のため、冬の作業として年1回防虫剤の補充を行っています。今年もその時期到来とばかりに標本箱を開けてびっくり。貴重な標本のいくつかがボロボロになっているではありませんか。しかも、標本本体に毛のふさふさした幼虫がぶら下がっていました。特に尾端にある毛は槍状毛といい、驚くと扇子のように広げてかわいく(本人は威嚇のつもり?)見えます。
 これはヒメマルカツオブシムシの幼虫で、動物標本、乾物や毛織物類を食い荒らす大害虫として有名です。4mmぐらいの大きさまで成長し、初夏のころ屋内で羽化、交尾、産卵をします。成虫は約3mm程度の褐色斑点を持つ甲虫で、産卵後、屋外に出て白い花(マーガレット等)に集まりよく吸蜜します。吸蜜後、再び屋内に侵入する個体はそう多くないようで、吸蜜はまるで余生を楽しんでいるようにも見えますね。

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ヒメマルカツオブシムシの被害を受けたカマドウマ標本
▲ヒメマルカツオブシムシ幼虫
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ヒメマルカツオブシムシ幼虫の槍状毛


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