トビイロウンカ(№237)

 秋は農家の皆さんにとって待ちに待った収穫の季節です。しかし、今年はあちらこちらで写真上のように、水田の一部に稲が丸く枯れ上がる症状(坪枯れ)が見られました。
この枯れた部分の稲をかきわけて株元を見ると写真下左のように、小さな褐色の点(3~5mm)がたくさん見えます。しかもこの点はチョコチョコ動き回っています。これは、トビイロウンカです。稲を食害し害虫として問題になるウンカ・ヨコバイ類にはトビイロウンカ、ヒメトビウンカ、セジロウンカ、ツマグロヨコバイ、イナヅマヨコバイがありますが、最も被害が深刻なのは、トビイロウンカです。
 トビイロウンカは、初夏の頃、ジェット気流に乗って中国方面から日本へやってきます。多数の成虫が水田に入ると、羽の短い成虫(短翅型といい、あまり移動せずにどんどん増殖するタイプ)が現れ、瞬く間に大量のウンカが発生することになります。初期には外見上なんの被害も見られませんが、収穫間際になって坪枯れが発生し大被害を及ぼします。
 稲しか食害しないため、日本では越冬できず毎年中国方面からやってきて、時に大きな被害を及ぼします。
(*写真をクリックすると拡大されます)
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▲トビイロウンカによる坪枯れ
▲稲を加害するトビイロウンカ
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▲トビイロウンカ長翅型成虫と卵


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