ヒサカキ(№328)

 早春、里山の小道を歩くとガスのようなにおいが漂うことがあります。これはヒサカキと呼ばれる低木(樹高2~5m程度)の花のにおいで、花のにおいとしてはかなり特殊なにおいと言えるでしょう。サカキに比べ小型でつやのある小葉をつけ、白~ベージュ色の小さな花を下向きに付けます。雌花のほうが雄花より小さいのもこの花の特徴でしょう。名前の由来は姫サカキが訛ったものとか非サカキの意味とかいわれています。
 ツバキ科ヒサカキ属の低木で、日陰に強く、成長も遅いうえ剪定にも強いため、庭木として植栽されることもありますが、花よりつやのある葉を鑑賞することが多いようです。乾燥地、照葉樹の下等環境を選ばず生育します。この植物は、図鑑によれば雌雄異株で、雌株に雌花が、雄株に雄花がつくとなっているのが多いようですが、雌しべと雄しべの両方を併せ持つ両性花も見られます。更に雌花の柱頭(雌しべの先端)が2裂しているものと、3裂しているものが見られます。また、雌花の色もベージュがかっているものが多いなど、この植物の性については未解明な部分が多いようです。
 本州以南、インド、マレーにまで分布しており、サカキの少ない地方ではサカキの代わりにこれをサカキと呼んで神事に使用する地方もあるようです。ビシャコ、ビシャ、ササキなどの呼び名で呼ばれることもあります。
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ひさかき1
ひさかき2
▲ヒサカキの雄花(雄しべのみ)
▲ヒサカキの雌花(柱頭2の雌しべのみ)
ヒサカキ3
ヒサカキ4
▲ヒサカキの雌花(柱頭3の雌しべのみ)
▲ヒサカキの両性花(雌しべと雄しべが見られる)