マメヅタ(№.321)

 湿度の高い山中の古木には樹幹を這い上り、直径1cm程度の円形緑葉が連なっているつる植物を見かけます。これは、マメヅタと呼ばれる、ウラボシ科のシダ植物の1種です。近縁種としては、ノキシノブが挙げられます。
 常緑で、美しい緑を年中提供してくれる野趣あふれる植物ですが、あまりにもどこでも見られるためか顧みられることの少ない植物です。古木や石付きにすることで観賞価値は十分あると思います。この円形の葉は栄養葉で、炭酸同化をし、でんぷん製造に役立つ葉であるとともに、肉厚で水分を多く蓄えることが出来ます。この葉を2つに折ると、プチッと音が出るため、かつては子供が良く遊んだものです。殆どが円形ですが、よく見ると、中にはハート型や変形したものが見られることがあります。変形した園芸品種に獅子葉と呼ばれるものがあります。
 マメヅタには円形の葉以外に長さ1~2cmで立ち上がったヘラ状の葉が所々に見られることがあります。これは胞子葉で、裏面中肋に沿った両側に褐色の胞子嚢が付き、中に胞子をつけます。シダ植物ですから、この胞子で増殖します。
 非常に良く似た形態のマメヅタランというラン科植物がありますが全く別種で、生息地も比較的局限されます。
(*写真をクリックすると拡大されます)
まめづた1
マメヅタ2
▲マメヅタ栄養葉
▲マメヅタ胞子葉
まめづた3
▲マメヅタ胞子嚢


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