ナンバンギセル(№302)

 ナンバンギセルという変わった植物をご存知でしょうか。植物の特徴である葉緑素を持たないため自身で炭酸同化作用をすることが出来ず、他の植物に寄生している寄生植物です。
 寄生植物が寄生する相手の植物を寄主(植物)といいますが、ナンバンギセルはイネ科(ススキ、イネ、サトウキビ、タイワンオギ、ベニチガヤ)、ショウガ科(ミョウガ、ショウガ)やユリ科(ギボウシ、ユッカ、ホトトギス)などの植物を寄主としています。1年草ですので寄主植物を鉢栽培し、ナンバンギセルの種を播種すれば開花するかも、との思いからススキを鉢植えにし、秋口にナンバンギセルの種をまきました。その結果、8月に入って写真のように、ススキの鉢からナンバンギセルが数十本花を付けました。
 地上部に見えるのは花茎(花を付ける柄)で、茎と葉は地下にあるとのことで、土を掘ってみました。そうすると茎らしい部分と鱗片葉(退化し、鱗片のようになった葉)、数本の花茎の分岐が見られました。どの部分にも葉緑素の緑色は認められず、他の植物に寄生しなければ生きていけないことが良くわかります。 花の構造は丸い球状の雌しべの下に雄しべが4本。花糸(雄しべの柄)から蜜を分泌していることや花の構造から虫(動物)媒花と考えられますがどのような虫が媒介するのでしょうか。今のところ、我が家のナンバンギセルには種子が一つも付く気配がありません。
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▲ススキの鉢植えから出たナンバンギセル
▲ナンバンギセルの花(花弁とガクの一部を除去)
▲ナンバンギセルの茎と鱗片葉及び花茎(土中)