サンゴジュハムシ(№290)

 桜の花が散り、樹木の新芽も開き山々が新緑に包まれます。庭木の緑も1年で一番美しい時期となります。しかし新しい葉は害虫たちにとっても最もおいしい食べ物なのでしょう。特に、長い冬を卵で越してきた孵化間もない幼虫にとって、新葉は特別のご馳走でしょう。
 まるで、虫食いの葉が開いたようなぼろぼろの葉が見られる木があります。サンゴジュハムシの食害を受けたサンゴジュです。前月にはサンゴジュについて記載しましたが今回はサンゴジュハムシについてです。サンゴジュハムシは卵で越冬しますが、この卵は写真のように冬芽(越冬中のサンゴジュの芽)のすぐ側の枝を傷つけて産卵され、卵の上には自らの糞?を蓋のようにかぶせています。そのため卵は冬芽と同じ環境下で越冬しており新葉の展葉と同時に卵も孵化することが出来ます。つまり孵化した幼虫はすぐにご馳走にありつけることになり、ぼろぼろの葉が開いたような状況になります。小さな葉が食害されると、葉の成長と共に食害痕も大きくなり、益々目立つようになります。
 サンゴジュハムシはサンゴジュと同じスイカズラ科ガマズミ属のガマズミ、カンボク、オオデマリや園芸品種の常緑ガマズミなどの庭園花木にも同様の被害を発生させ問題になります。ひどい場合、葉を丸坊主にしてしまうこともあり庭木の害虫として重要です。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲サンゴジュハムシに食害されたサンゴジュの新葉
▲孵化後のサンゴジュハムシの産卵痕と卵殻
▲サンゴジュハムシの幼虫
▲トサミズキのサンゴジュハムシによる被害


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