カニクサ(№287)

 夏草が枯れ、一面茶褐色の冬景色に変わったフェンスや石垣に薄緑色のツル植物がからんでいるのが見られました。関西では夏緑シダ(冬は枯れ、夏季緑になるシダ類)の仲間でカニクサと呼ばれる普通のシダ植物です。暖地では冬も緑のままで常緑シダとされるカニクサですが、関西では場所によって常緑であったり夏緑であったりするようです。別名、ツルシノブ、シャミセンヅルとも呼ばれます。

 非常に強いツルで、このツルを使ってカニを釣ったことからカニクサと呼ぶそうです。石垣などを這い登るツルは、一見茎のように見えますが本当の茎は地下を横向きに走っており、その先端から葉を出します。この1枚の葉が、通常われわれが目にする植物体で、時には数メートルの長さにもなります(写真では3メートル以上になっています)。したがってツルは、葉の主脈であるわけです。また、この葉の先端はどんどん先へ伸びる(無限成長)ため茎と同じ役目をしていると考えられます。
 葉には2種類の形態が見られ、専ら炭酸同化をし養分を作り出す葉(栄養葉)と、炭酸同化もするが胞子をつくり子孫を残すことを中心にした葉(胞子葉)が見られます。葉の先端には胞子葉が多く見られるようです。通常、栄養葉は胞子葉と比べ大型で、葉の切れ込みも少なくなります。 


▲石垣を這い登るカニクサ
▲左:胞子葉  右:栄養葉


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