ユーカリ(№283)

 今月はコアラの餌として有名なユーカリを取り上げましょう。フトモモ科ユーカリ属の高木で世界に800種も存在します。しかしコアラが食べるのはその中の僅か12,3種類の新芽のみといわれています。
オーストラリア、タスマニア島に多く、樹高5~70mと多様です。ユーカリの葉は炭化水素のテルペン(引火性が強い)を発生するためユーカリ林はテルペンに覆われ、火種があれば山火事の原因となります。また、根は地下深く伸び、地下の深いところから水を吸い上げることが出来るため荒廃地の復旧に植えられることもあります。
 日本ではユーカリといえばEucalyptus globulus(ユーカリ・グロブラス)と呼ばれるナギナタの刃のような細長い葉をした品種が多く植えられています。この仲間は若い枝に付く葉と古い枝に付く葉の形が異なります。若い枝に付く葉の葉柄は見えず卵形の葉が若い枝を巻くような形で付いています。古い枝に付く葉には葉柄があり、なぎなたのような形(披針形)をしています。また、古い茎の断面は円形ですが若い茎では四角と違うことが観察されます。ただ、写真4でわかるように、古い茎でも維管束は四角なのは面白いですね。古い枝の葉は他の広葉樹と異なり水平に広がるのではなく下垂した葉となるのも変わっています。樹皮を見ると古い樹皮はめくれて剥離しますが、そのあとの幹に淡緑色の筋が見えます。これは、幹にも葉緑素があり光合成をしているためで、そのためにも古い樹皮を脱ぐそうです。
 他にも多くの品種が導入されていますので、いろいろ比較するのも面白いです。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲若枝に付く葉(卵形)
▲古枝に付く葉(披針形)
▲若枝(四角い枝)
▲左:古枝断面(丸) 右:若枝断面(四角)
▲樹皮のめくれた幹


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