キンラン(№654)

 5月は里山散策には最高の季節です。多くの草木も開花期を迎え花盛りの季節ですが、木漏れ日の射す落葉樹の樹下でひと際目立つ派手な色の花を咲かせる野草の一つにキンランがあります。
 キンランは、ラン科キンラン属の多年草で、多くは落葉樹の樹下で、4~6月、直径1cm程度の花を数個~10個程度、茎の先端に総状につけます。その花の色は鮮やかな黄色で、命名の由来になっています。この花は全開することなく半開で、5枚の花弁の内、唇弁には赤褐色の隆起が見られます。草丈30~60cmで葉は長さ10cm前後、葉柄はなく基部は茎を巻き、7,8枚が互生します。本州以南の全国で見られますが、環境省の絶滅危惧Ⅱ類になっています。
 ラン科の植物は ラン菌と呼ばれる菌根菌と共生していることが知られています。キンランもその通りですが、キンランと共生する菌根菌はイボタケ科やベニタケ科の菌で、主として落葉樹の根の外生菌根菌でもあり、落葉樹の根から養分が供給されなければ生存できないことが知られています。つまり、落葉樹とその菌根菌(外生菌根菌)、その菌根菌と共生するキンランの3種による3者共生系が知られています。ですから、キンランを生息地の土壌とともに移植しても2,3年で消滅してしまうのは、菌根菌と樹木及びキンランの3者共生系がうまく成立できないからです。同じような共生系を持つランにはギンランやオオバノトンボソウが知られています。このキンラン自生地でもギンランが見られました。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲キンラン(着蕾)
▲キンラン(開花始)
▲キンラン(満開)
▲キンランの近くで見られたギンラン

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