フクジュソウ(№572)

 スプリング・エフェメラルの花の代表としてフクジュソウがあります。
 キンポウゲ科の多年草で、落葉樹林の下で早春の2~3月に開花し続いて人参のような葉(羽状複葉)をひらきます。草丈10~25cm、陽が当たると直径3~4cmで艶のある黄色の花を開きますが、この花は蜜を出しません。花粉の媒介昆虫(ハエやアブ)を呼び寄せる手段として、艶のある花弁をパラボラアンテナのような角度で開き、花の中央部の温度を高くし、足湯を提供するような形で昆虫類を呼び寄せます。落葉樹が展葉し陽光を遮るようになる初夏には地上部が枯れ、翌春まで休眠します。
 石灰岩質の土壌を好み、江戸時代から多くの園芸品種が育成されてきました。最近自生種は4種類に分類されるようになりましたが、写真は奈良県で自生するフクジュソウです。根はごつごつしたゴボウのような根で、小鉢にいれて売られているものは太い根を切ってあるため弱ることが多いです。また促成栽培もおこなわれ、年末から正月に花を咲かせるように調整したものも見られます。
 別名、元日草、ついたち草とも呼ばれますがこれは旧暦の正月頃(2月)に開花するところから来ています。生薬として利用されますが、全草有毒で、蕾をフキノトウと間違って食べる事故が発生しています。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲フクジュソウ(蕾)
▲フクジュソウ

▲フクジュソウ
▲フクジュソウ

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