カメノテ(№571)

 3月ともなると日の当たる海岸の岩場は意外と暖かく感じるものです。潮間帯(満潮時には海中に、干潮時には水の上に出る海岸)の岩場を歩くと岩の隙間に小さな亀の手のような貝のような生き物がびっしりついていることがあります。見た目が「亀の手の」ように見えることからカメノテと呼ばれる甲殻類ミョウガガイ科の生物でエビ、カニ、フジツボなどの仲間です。幼生が孵化するとプランクトンのような生活をし、他の個体が出す集合フェロモンで集まり、岩に固着すると一生その場を動きません。
 殻板(頭状部の堅い殻)は左右相称で4~5対ありますが、潮が満ちるとこれを開き、中から蔓脚(羽のような触手)を海中に出し、プランクトンなどの餌を摂って食べます。日本全国に分布し、通常3~4cmに成長します。
 非常に美味で、最近魚屋の店頭で見ることがあります。塩ゆでやみそ汁に入れますが、食用にするのは殻板の下の柄部(鎧のような皮に見えます)を外し、中身を食べます。高知や愛媛では昔から食用に供されていたようですが最近は通販でも目にすることがあります。スペイン、ポルトガルではペルセベスと呼ばれ高級食材になっています。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲岩の割れ目に定着するカメノテ
▲岩の割れ目に定着するカメノテ

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