エビネ(№544)

 多年草であるラン科エビネ属の代表がエビネです。ジエビネ、ヤブエビネと呼ばれることもあります。
エビネの呼び名の由来は地下部のバルブ(塊茎)がつながり、エビのしっぽのように見えることからエビネと呼ばれるようになりました。
 日本全国に分布し、樹林下の半日蔭地に自生しています。4~5月に新葉の展開と同時に30~40㎝の花茎が伸び横向きの花を10~20花つけます。花は他のラン科の花と同じく外花被(がく由来)3枚、内花被3枚(側花弁2枚+唇弁1枚)からなり、唇弁の上端には蕊柱(ズイチュウ:めしべとおしべが合体した器官)があり、先端に葯帽(粘着体の付いた葯の塊で、内部に花粉塊がある)があります。
唇弁の上に着地した昆虫が、蜜を求めて花の奥へ潜り込むとその背中に花粉塊が付着し、そのまま他の花に運ばれる仕組みです。唇弁は白または紫紅色で、がく片、側花弁は褐、赤褐、黄褐、緑褐、緑など変化に富みます。また、同属のエビネ類と交配しやすく、いろいろな交配種が見られ、多くの愛好家に好まれています。
 しかし、エビネはウィルスに弱く、同一個体の株分けでの栽培を長期間続けることはむつかしく数年で絶えてしまうことが多いです。そのため、無菌播種で栽培され市場に出ることがありますが、コストの関係で選別交配種に限られ、エビネは市場価値が低いため、野生の採集株が市場に出ることが多くなります。そのため、エビネは野外からどんどん姿を消しているのが現状です。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲自生のエビネ
▲エビネの根部(バルブが連なっている)
▲褐色弁のエビネ
▲緑色弁のエビネ

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