アサザ(№530)

 晩夏のある日、波の立たない小さな池の水面一面に直径3~4㎝の小さな黄色い花をつけた水草を見付けました。ミツガシワ科アサザ属のアサザです。
 花弁は5枚に見えますが基部で合体した合弁花です。花弁の周縁はフリル状になっています。午前中に開花し、午後には枯れる1日花で、花柱の長さが異なる異形花柱性で、異なる花形同士の受粉で結実するようですが、一つの群落の花はみな同じ花柱性を持っていることがほとんどです。アサザは地下茎から水中へ伸びた走出枝で繁殖するため一つの群落の個体はすべて同一遺伝子を持ったクローンであることが殆どだそうです。日本生態学会では日本には遺伝子的には61個体しか存在しないとの報告もあるようです。ユーラシア大陸の温帯地域に自生していますが、関西では兵庫県の溜池の一部で見られます。千葉県の霞ケ浦では過去に大繁殖していたようですが、現在は絶滅したようです。環境省では準絶滅危惧種に指定しています。
 根は水底の土中にありますが、
葉は直径5~10㎝のハート形で水面に浮いています。また、若葉はジュンサイに似ており食べられるため別名ハナジュンサイまたはイヌジュンサイとも呼ばれます。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲アサザの群落
▲アサザの花(長花柱花)

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