シュウカイドウ(№528)

 秋の山道を彩る花の一つにシュウカイドウがあります。9~10月、湿気の多い半日蔭の山道に淡紅色の花を群がって咲かせます。シュウカイドウ科シュウカイドウ(ベゴニア)属の多年草(球根)植物です。ベゴニアと聞けば花屋さんで売っているベゴニアを思い出す方も多いと思いますがあれは同じ仲間の園芸種です。山道で見られるシュウカイドウは中国、マレー半島原産の帰化植物で、江戸時代に観賞用に導入されたものが逸出し野生化したものです。
 シュウカイドウは高さ70㎝程度、葉は長さ20㎝程度と大きく偏心形(左右非対称の形)で互生します。左右の形が異なることから花ことばの「片想い」が生まれたようです。
 花は雌雄異花同株で、雄花は4枚の花弁のように見えますが左右の小さな2枚が花弁で上下の大きいのはがくが変化したものです。中央に黄色く球状の雄しべがあり横向きに咲きます。雌花は花の下に三角錐状の子房が見られ、ほぼ下向きに咲いています。花粉や蜜は持っていませんから花粉媒介昆虫を呼ぶため柱頭が黄色く螺旋状になっており花粉を持った雄花の雄しべに似せているようです。
 寒さに強く、地下に球根があり、種子や葉腋の球芽でも繁殖するため条件がそろえば群落を作りやすい植物です。
 (*画像をクリックすると拡大されます)
▲満開のシュウカイドウ
▲シュウカイドウの花(手前左:雌花、奥右:おばな)
▲シュウカイドウの雌花(花弁の下に子房)
▲シュウカイドウの雄花

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