キヌガサタケ(№520)

 梅雨期と秋期にカラマツ林や竹林を歩くとキヌガサタケと呼ばれる絹のレースをまとった美しいキノコと出会うことがあります。
 キヌガサタケはスッポンタケ目、スッポンタケ科、スッポンタケ属に分類される二次的腐生菌(ある程度分解された有機質に発生する菌類)です。子実体(菌類が胞子を作るための組織でキノコがこれにあたります)は地下部に少ない菌糸を伸ばし、地上部には直径5~8cmの鶏卵状球体として地上に現れます。この球体が二つに割れ、中から托と呼ばれる白い棒が現れます。托は中空海綿状の組織で先端には基本体(グレバ)と呼ばれる緑褐色の帽子をかぶっており、この基本体の下からレース状の白い傘(菌網)が開きます。子実体が割れ、托が伸び、傘が開くまで数時間と言われています。子実体を支える菌糸は少ないため、傘を開くと全体が傾くことが多いようです。また、大きな傘は直径30cmにもなります。
 グレバは胞子を含んだ粘液を出し、悪臭を放ちます。このキノコの胞子は風で分散するのではなく悪臭?に集まってくる昆虫などの小動物(シデムシ、ショウジョウバエ、イエバエ、タテハチョウ、ナメクジ、ダンゴムシなど)によって分散されます。
 中国では托と菌網を乾燥させ、スープなどに使うそうでフカヒレ並みの高級食材とされています。そのためキヌガサタケの栽培もされているようで、日本でも乾燥品が販売されています。
 (*画像をクリックすると拡大されます)
▲キヌガサタケ(托の下部に球体がみられる)
▲キヌガサタケ

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