コオイムシ(№517)

 コオイムシと呼ばれる水中生活をするカメムシの仲間がいます。
 流れが少なく、水深数cm~数十cmで水草の多い水域に生息し、成虫は、体長17~20mmで薄い褐色をしています。前脚はカマキリの前脚のように獲物を抱え込む構造になっています。中脚と後脚には毛が多く、水中を泳ぐのに適した形になっています。尾端には呼吸用の、伸縮自在の呼吸管がありこれを時々空中へ出して空気呼吸をしています。呼吸管による呼吸だけでなく、腹部と翅の間に空気を溜め水中での呼吸に使っています。この気泡と水中の酸素及び炭酸ガスの分圧差で水中から酸素を取り入れ、炭酸ガスを放出することで長時間の潜水に耐えられるようになっています。
 国内では本州、四国、九州に分布し、かつては水田中心に生息していましたが、水田環境の変化に伴い、生息地は非常に狭い範囲になってしまいました。
 捕食性カメムシで、小魚、水生昆虫や貝類を前脚で捕らえ口針を刺し、消化液を注入して体液を吸汁します。
 4~8月が産卵期で雌成虫は雄成虫の背中に産卵し、背中に卵を背負った雄成虫は、幼虫が孵化するまで(約2週間)捕食者から守るだけでなく、定期的に卵を水上に出し卵に酸素を与えるなどの世話をします。この様子からコオイムシと呼ばれるようですが、孵化した幼虫がそれまで世話していた雄成虫に捕食される様子も見られます。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲卵を背負ったコオイムシ
▲卵を水上に出し酸素を供給しているコオイムシ

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