カジカガエル(№481)

 日陰を求め、渓流へ入ってみましょう。岩の間を流れる水の音を聞くだけでも涼しさを感じるものですが、水の音に交じって「フィー、フィー、フィーッ」ときれいな声が聞こえてくることがあります。特に朝夕には、数ケ所から競うように聞こえることもあります。鳴き声のする方向を探してみても、声の主は見つからないことが多く、不審に思われたこともあるかもしれません。
 この美しい声の主はカジカガエルです。アオガエル科カジカガエル属の小型のカエルです。体長はオス3.5~4.5㎝、メス4.9~8.5㎝でメスの方が大きく、昆虫やクモなどを餌としています。流れのある渓流に住んでいるため、手足の指先は吸盤になっていて、岩に張り付くのが便利になっています。体色は地味な灰褐色で不規則な斑紋を持ち河原の石に擬態していて、よほ
ど注意して探さないと見付けられません。5~8月、オスは渓流の一つの石を中心に自分の守備範囲を定めメスを呼ぶために鳴いていますが、体の色と模様が石にそっくりなため見つけるのはむつかしいです。
 カジカガエルはその鳴き声がシカの声に似るため「河鹿」と呼ばれるようになったようです。
 岩国市や真庭市では天然記念物に指定されており、江戸時代にはその声を聴くため、河鹿籠(カジカかご)での飼育がはやったそうです。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲カジカガエル
▲カジカガエル
▲カジカガエル

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