タシロラン(№445)

 ラン科トラキチラン属の植物でタシロランと呼ばれるランがあります。明治39年長崎で田代善太郎が発見し牧野富太郎が命名しました。その後50年間再発見されず幻のランと考えられたこともあったランです。草丈10~30㎝でヒトヨタケの仲間の菌から栄養を摂取し、光合成をしない菌従属栄養植物であるため葉緑素を持っていません。6~7月頃、落葉が積み重ねられたような場所で発生することがありますが、連続して同じ場所で発生するとは限らないためなかなかお目にかかれないランです。
 地下に塊根が有り、直径3~7mm、長さ10~30cm程度の茎を直立させ、先端に花穂をつけます。全体に白く、花弁内側には淡紫色の斑点が見られ、自家受粉らしく、大量の微細種子を作ります。花期は10日程度で短命です。光合成をしませんので葉に役目はなく、茎には葉の痕跡である鱗片葉が数枚あり、花を咲かせ種子を作るためだけに地上部に3週間程度現れる植物です。環境省の絶滅危惧種(NT)に指定されています。本来暖地性の植物で、東海以南の各地に点在しているようです。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲タシロラン
▲タシロランの花

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