ムベ(№383)

 紅葉が始まるころ、山へ入ると、いろいろな果実が見られます。昔、これらの果実はおやつとして子供たちの人気の的でした。今は、お金を出せば、もっとおいしいものが簡単に手に入りますが。今でも時々アケビが店先に並ぶことがありますが、このアケビによく似た果物の一つにムベがあります。
 ムベはアケビとは異なり常緑樹で1年中緑の葉をつけています。果実はアケビよりやや小型で円く、熟しても開きません。アケビは熟すと果実が裂け、中の種子がこぼれ落ちたり鳥に食べられたりして種子散布をするのでしょうが、ムベの場合、熟した果実は樹上または地上に落下して獣類に食べられ糞とともに種子散布されることが多いのかもしれません。ムベができている付近には食害を受け皮だけとなったたムベの果実や多数の種子を含んだ獣糞があちらこちらに見られます。
 ムベの葉は互生しますが葉と葉の間隔が狭く9,7,5,3枚と奇数枚が輪生状に着きます。7枚以上になると果実をつけるようです。葉はアケビより厚く、葉脈が目立ちます。アケビは、果実だけではなく新葉、新芽なども食用にされますが、ムベではいかがでしょうか。真偽のほどはわかりませんが、ある時天皇がこれを口にし「ムベなるかな」と感嘆したことからムベと呼ばれるとか。
 最近では、あまり見かけませんが常緑であることを生かして生垣に使われ「ムベ垣」と呼ばれることがあります。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲他の木に絡んで実をつけたムベ
▲中身を食べられたムベの果実
▲ムベの種子を大量に含んだ獣糞
▲ムベの葉
▲ムベ垣


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