ヤツデ(№29)

 和泉試験地で試験中のヤツデが花をつけています。この花は、雌しべと雄しべを持った両性花です。開花初期(左写真)には小さな花弁と雄しべ、蜜を持った雄性期の花を開きます。この時期には花粉を出しますが、雌しべは未熟で受粉できません。花粉を出し終わると花弁、雄しべは落ちてしまい蜜も出なくなります。しかし、2,3日後に再び蜜が出始め雌しべが伸びます。これは雌性期の花で雌しべが受粉できます。これは、自分の花粉で自分の雌しべが受粉する(同花受粉)のを避け、より優れた子孫を残すための工夫のひとつです。
 やつでの花は、写真のような花がいくつも付いた花穂となり、上から順に咲いていきます。そのため一番最後に咲く花の雌しべは、次に咲く雄しべがなく受粉の可能性は低く、雌しべは未熟なままで枯れ落ちてしまいます。種子を作るためのエネルギーを節約する省エネ対策でしょうか。
この寒い時期でも陽のあたる時には大きなヤツデの葉の上で日向ぼっこをしているホソヒラタアブやハエが見られます。これらの昆虫が送粉の役を担っているのでしょうね。
(*写真をクリックすると拡大されます)
▲雄性期のヤツデの花
▲雌性期のヤツデの花


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