コブシ(№361)

 4月初旬、まだ冬枯れの続く山を行くと、所々に枯れ木のような枝だけの木に白い花を咲かせた木々が目につきます。これはモクレン科のコブシまたはタムシバです。
 遠く離れているとどちらの木か見当をつけるのはむつかしいですが、三角錐の樹形はタムシバ、横に広がった樹形のものはコブシが多いようです。
 近くで花を詳細に観察すると、コブシは花の下に1枚の小さな葉をつけていますがタムシバにはそのような葉は見られませんし、タムシバの方が花弁が細く、嚙んでみると甘みを感じることができます。「噛んでみる」が「嚙む柴」となり「タムシバ」となったといわれています。
 他にコブシの仲間でシデコブシと呼ばれるものも自生しますが、シデコブシの花は花弁が12~18枚で薄い桃色をしています。シデコブシは愛知県、岐阜県、三重県の一部地域でのみ自生が確認されています。
 住宅地ではコブシやタムシバより少し早い時期にハクモクレンが咲きますが、これは中国原産の庭木で花は大型で上を向いて咲き、花被(花弁と萼片の区別ができない場合両者をまとめて花被といいます)が9枚で花弁6枚のコブシやタムシバと区別できます。また、花被外側が紫のモクレン(シモクレン)も住宅地で見られ、これらモクレンの仲間の一番最後に開花します。シモクレンも中国原産の庭木です。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲山腹に咲く白い花
▲コブシ(花の下に葉が1枚)
▲タムシバ


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