たまたま見たたま


2017年8月8日

台風が通り過ぎた後、少し気温が下がりました。
今日は、予定通りU君たちが公園の花壇の植替え作業に入りました。
気温が下がったと言っても、湿度が高く、熱中症に気をつけながらの作業です。
大量の雨の降った後の土の湿り具合は上々ですが、雨の勢いが強い分
土が締め固まったような状態なので、植え穴を掘るのに力がいるようです。
なかなか良いことは二つありません。それでもみな効率よく予定通りの作業を
進めています。

今月で引退する私は、週末に、小旅行をして来ました。
行き先は箱根です。中学3年生の修学旅行以来の訪問です。
生まれて初めて乗った登山鉄道の両脇は盛りを過ぎて少し色あせた
ドライフラワーにぴったりのアジサイがたくさん咲いていました。
見ごろの瑞々しさとは一味違い、アンティークな雰囲気の色が私には好みです。
いたるところアジサイが多くびっくりしたのですが、そのそばに、アジサイに違和感無く
枝の先にまあるい『たま』のついた植物がたくさん生えています。
当初、何か分からず首をかしげていました。浮かんでくるのは、『ヤマシャクヤク』
という名前です。つぼみがシャクヤクのつぼみのようだったからですが。

勉強不足の私は、それが日本の北部から中部地方の山に自生する『タマアジサイ』
なのだと今回初めて知りました。しかもアジサイの仲間ですが、開花期間が遅く、
これから9月ごろまで咲くようなのです。見れば登山列車やバスの車窓から見える
景色の中にここも、かしこも・・・状態で生育していました。つぼみがある程度大きくなると
鈴玉のように割れて、小さな装飾花とともに両性花が線香花火のようにはじけ出るようです。
その咲き方も、普段見慣れているアジサイとは随分違います。

さらに別の『たま』も印象的でした。これは箱根の関所を復元した資料館で出会った
可愛い女の子のキャラクターの『お玉ちゃん』です。とても可愛い少女ですが
その子のプロフィールがすごいのです。
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江戸時代(1700年ごろ)、お玉と言う少女が江戸の奉公先から、お父さんが危篤と聞き
矢も盾もたまらず伊豆の実家に戻ろうとしました。彼女は箱根の関所で、通行手形が
必要なことを初めて知ります。無断で出たため、後戻りもできず、関所さえ越えれば
と思い関所を破ろうとして、柵にひっかかり、捉えられ、2ヶ月間牢獄に入れられた後
打ち首になったのです。まだあどけない少女の首の血を洗ったと言われる『お玉ケ池』も
そばにあり、記録も残っているので、実話のようです。
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その子が背中に玉じゃくしを背負って可愛いキャラクターになっているのです。
資料館内の要所要所でおたまちゃんが説明してくれているのですが。良く見ると、確かに
彼女に足はありません。牢獄のところでは『・・そう言えば私もここに入ったような気がするわ』
など、悲劇のヒロインも、今では立派な箱根観光大使によみがえっているのです。
なかなか強烈なキャラクターで、私の脳裏にすっかり焼きついてしまいました。

どの観光スポットにもアジサイやタマアジサイがたっぷり植えてあるせいか、何となく、
空間全体がつながって見えて。全ての場所が箱根の一部だと感じました。

昔行った場所でも、大人になって行くと、感じるものも気づくものもいろいろ違って
面白かったです。


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