秋の植物園(No.55)


2019年11月26日

Sです。

大阪市立大学理工学部附属植物園を訪ねました。
一般的な植物園のイメージだと花壇があり園芸種の植物が華やいだ雰囲気を醸し出していますが、どちらかと言うと地味な雰囲気です!しかし日本産樹木の収集に力を注いでおり、約26haの園内(甲子園球場の6倍)には、約6,000種類、約30,000本もの植物が育てられており、日本の代表的な11種類の森を復元展示。絶滅が心配されている植物の育成にも力を入れている樹木に特化したわが国でも有数の植物園です!

ちょうど訪れたときが、園内ガイドツアーが始まるグッドタイミングだったので、園職員の方の詳しい案内を聞くことができました。

【ここからは職員の説明から抜粋】近年、生育環境悪化に伴い、多くの野生植物が絶滅を危惧されるようになり、大きな問題となっていますが、園では特に大阪近郊の絶滅が危惧される植物の保全に向けた取り組みも始めています。その一部を展示栽培しています。
その中にはシラン、ユキヤナギといったよく見聞きする植物があります。到底“絶滅?”と思えない植物なのに・・・?何故絶滅危惧種なのかというのは、家庭の庭などに植わっていても、自然の状態で生育していない植物は絶滅危惧種だそうです!
他にもフジバカマ、オミナエシ、キキョウども名前をよく知った名前もありました。ハ―ブ園ではコリアンダーの紹介があり、あのパクチーだとわかり親近感がわきました。更に根から美味しいダシがとれるというのも意外でした。

ツアー移動中は主に樹木の紹介がほとんどでした。過去には大量に植えられ街路樹などにもよく使われているキョウチクトウが燃やすと有毒ガスが出るということや、ナンキンハゼも発がん性物質が含まれているといった話からは、街路樹などよく見かけるものだけに考えさせられました!

日本産樹木の見本園では、トベラについては潮水かかっても大丈夫で乾燥にも強い常緑樹ということで、海外でも活躍しているということ。
木の名前の由来では、カゴノキはその木肌が鹿のバンビに似ていることから!バクチノキは樹皮がめくれやすいことから博打で身ぐるみはがされる意味からつけられたなど!非常にユニークな話でした。
スダジイとツブラジイが並んで植えてある場所では、この二つの木のどんぐりは食べられるというのもわかりました!

紅葉と花の時期が重なる珍しい木としてマルバノキが紹介!またイスノキにできている「虫(ちゅう)えい」というのも初めて見ました。虫はあちらこちらの木に本宅?や別荘?があり、移り住むらしいですが、アブラムシの住処となっているのがこの虫こぶとのことを「虫えい」というとのこと!。        (写真は虫えい)

少し歩いても非常に興味深い面白い木の話が聞けるので、結構アップダウンのある道を飽きさせず疲れさせずに案内する職員の方には感心しました!

特に面白かった木は落葉樹でムクロジ。そこで職員の方が実験しますとペットボトルの水に、落ちているムクロジ実を拾い、殻をとって黄色い果肉をちぎって降りだすと、あっという間にシャボンになりました。この実のことをウォッシュナッツと言うそうで、身体に優しい天然素材が注目される昨今、このウォッシュナッツの石鹸は販売されているようです!ちなみに中の黒い実は数珠や羽子板の玉にも使われていたのこと!勉強になります!

1時間の予定のガイドツアーでしたが、あっと言う間に終わり、多少木にかかわる仕事をしているだけに非常に興味深く楽しいひとときでした。

最後に案内がありましたが、昨年の台風21号で樹木が400本以上倒木したとのこと。公園などでは一定の高さで剪定することが多いですが、当園では自然樹形を維持するため、なるべく手を入れずに育成されていました。(写真は倒木したユリノキ)

この植物園のシンボルツリーのメタセコイヤ(生きた化石と呼ばれる)です。ここに来たら30mを超えるメタセコイヤが立ち並ぶ姿は圧巻です!まるで日本ではない風景に浸れます!
是非!大阪市大植物園に一度行ってみてはいかがですか!


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